日経ものづくり 標準化の神髄

第2回

開発プロセスの進化を定義
早い段階からコンカレント協調

斉藤 実
プロセスイノベーションコンサルティング 代表

市場で製品が売れるかどうかは,開発手続きの良否に左右される。このため,開発手続きの標準化は極めて重要だ。開発手続きの標準化とは,すなわち開発プロセスを最適化すること。そして,開発プロセスは常に見直していかなくてはならない。製品の開発の特徴を踏まえて開発プロセスを改革。そして短期間,低コストで製品を開発するためには,コンカレント・エンジニアリングを早い段階から実施する必要がある。(本誌)


 開発手続きの標準化とは,開発プロセスの約束事を手順としてまとめたもの。開発手続きの標準は常に同じではダメだ。開発プロセスは常に最適化しなければ競争に負けてしまうからだ。開発プロセスを常に見直して最適にし,決まったことを開発手続きの標準として整理することが重要となる。

開発の特徴を考えて標準化
 開発手続きの標準化を考える上でまず気を付けなくてはならないのが,開発の特徴が製品ごとに違うことだ。さまざまな製品が存在する中で,ここでは製品の種類を四つに分けて,開発の特徴を挙げた(表)。
 技術先行型製品は,通常の開発プロセスの前に顧客ニーズを解決するための要素技術開発が存在し,この部分が重要な位置を占める。要素技術が開発された後,または見通しが立った後,製品としての開発が始まる。
 基盤技術型製品(プラットフォーム型製品)は,まず基盤技術を開発するために膨大な投資と開発作業を必要とするが,その後は基盤技術を応用して多くの製品開発を行う。通常の開発はこのタイプが多い。
 プロセス依存型製品は,開発の全プロセスにわたって同時に製造工程を進行させるため,開発と製造の連携が非常に重要だ。
 顧客依存型製品は,既存の製品技術の上に,顧客が要求する仕様を実現するための開発を行うもの。その時々の顧客要求や顧客要求の変化を把握することがカギとなり,自主開発のようなマーケティングは必要ない。

日経ものづくり 標準化の神髄
表●製品の種類と開発の特徴
ここでは製品の種類を四つに大きく分けている。種類によって開発の特徴は違うため,標準化で重要視するポイントも変わってくる。