日経ものづくり アイデアコーナー

伸縮可能なコンベヤ 【明和】

三角プレートがスライドして長さを調整

 プリント配線基板の表面部品実装ラインにおいて,基板を搬送するコンベヤが装置の間に設置してある。ラインを変更するために装置を入れ替える際,コンベヤが装置に密着しているために,その取り外しに手間がかかっていた。
 そこで明和(本社愛知県安城市)は,簡単な機構で伸縮するコンベヤを試作した(図)。伸縮しても搬送面の高さは常に一定なため,取り外しや設置が容易なだけでなく,装置の間隔が異なる場合でも柔軟に対応できるのが特徴だ。
 考案したコンベヤは,ローラを取り付けてある側面を,それぞれ三つのプレートで構成した。プレートAは,コンベヤを伸縮させる方向にスライドできるように台座に支持しておき,送りねじを使ってその位置を調整する。プレートCは台座に固定してあり,プレートAとプレートCの間にプレートBを挟む。

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図●伸縮可能なコンベア


引き戸の施錠装置 【ホラサワメディテック】

ラックギアと1方向クラッチを組み合わせる

 引き戸の施錠装置としては,クレセント錠が一般的だ。しかしクレセント錠は引き戸を完全に閉めた状態でしか施錠できない。
 そこでホラサワメディテック(本社長野県松本市)は,引き戸を完全に閉めた状態から少し開けた状態までの任意の位置で施錠できる「ウインジョー」を開発した(図)。引き戸の下側フレームに取り付けるため,既存の引き戸にも容易に取り付けられる。
 ウインジョーは,奥側にある引き戸のフレームにラックを取り付け,内側にある引き戸のフレームに施錠装置本体を固定する。
 本体にはラックとかみ合う歯車,軸受,それらを貫通する軸が組み込んである。軸受は1方向クラッチの機能を持つものだ。歯車は,引き戸を閉じる方向には回転するが,開ける方向には回転しないようになっている。
 解錠する際には,軸と一体になったボタンを下側に押す。歯車や軸受は上下に動かないように支持されているため,軸と歯車・軸受の相対位置が変わることになる。

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図●引き戸の施錠装置
引き戸のフレーム下部に取り付ける。完全に閉めた状態から少し開けた状態の間の任意の位置で施錠できる。


節水洗浄用ノズル 【イーシーテクノ】

水流の出口周囲から空気が合流

 水流をぶつけて洗浄する場合,ホースの先端をつぶすなどして吐出口を狭くすることで勢いを強くする。しかし,ある程度の流量が必要な上,水が拡散してしまうために洗浄の対象物に近づく必要があった。
 そこでイーシーテクノ(本社大阪府東大阪市)は,節水効果がある「バブルンソニック洗浄用ノズル」を開発した。ホースを使った場合と比較して50~80%の節水効果を得られる。また,同じ流量の場合には水流の到達距離が1.5倍以上に長くなる。
 ノズル部は,耐久性を高めるために金属の一品物で造った(図)。吐出口は円周上に1列に並べ,貫通穴を開ける。円板の側面には空気を取り入れるための溝を入れる。
 溝の深さは,ちょうど貫通穴の中心まで。また,貫通穴の直径はこの溝を境に異なっており,水を吐出する側の直径は,水が流入する側の直径よりも少しだけ大きい。
 小さい穴の方から水を送り込むと,基本的に水はそのまま直径の大きい穴を通過して出ていこうとする。この際,穴の直径が変わる部分で水流は広がろうとするが,負圧によって引き込まれた空気の流れによって広がりが抑えられる。

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図●洗浄用ノズルの構造
円環状の金属部品に軸方向の貫通穴が複数あり,これらが吐出口となる。貫通穴の直径は吐出側が大きく,流入側が小さい。側面には全周にわたって,空気を取り入れるための溝が切ってある。