岡山県浅口市鴨方町にある、出力1.99MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)が「NH岡山太陽光発電所」である(図1)。コンクリート製品を手掛ける日本ヒュームが、岡山工場の跡地に設置し、発電事業に取り組んでいる。

図1●出力1.990MWのメガソーラー「NH岡山太陽光発電所」
日本ヒュームの岡山工場跡地に立地(出所:日本ヒューム)
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 日本ヒュームは、「ヒューム管」と呼ばれる、遠心力で作る鉄筋入りのコンクリート管を主業とし、90年前の1925年(大正14年)に創業した。

 日本が近代化し始めた時期、銀座に設置された電纜管(でんらんかん:電線を敷設するための管)は、同社が供給したヒューム管が使われたことで知られる。ヒューム管の用途は、電纜管から農業用水、工業用水、上下水道へと拡大し、日本の社会インフラの発展を支えてきた。

 岡山工場は、1965年に稼働した。岡山工場を立ち上げた目的は、建設中だった日本鋼管の福山製鉄所と、川崎製鉄の水島製鉄所に建設資材を供給するためだった。二つの製鉄所の中間地点に建設し、製鉄所を建てる際の基礎となるコンクリートパイルなどを供給した。

 その後、中国地方での需要拡大に対応し、コンクリートパイルだけでなくヒューム管なども製造し始め、1974年には、コンクリートパイルとヒューム管を合わせて月産5000tに生産能力を拡大した。

 しかし、日本全体で社会インフラの新規開発が一段落する中で、中国地方の需要も低減し始めた。2002年には工場を閉鎖し、中国地方には尼崎工場から供給するようになった。

 工場の閉鎖に伴い、跡地の有効活用を模索してきた。土地の売却まで含めて、さまざまな活用法を検討してきたものの、実際の活用には至らなかった。

 このような中、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が施行され、メガソーラー用地として活用することにした。