講演中の様子
(撮影:著者)
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塵埃量を抑えるために常に空調を稼働させるクリーンルームは、省エネの余地が大きい。省エネ化を無線センサーネットワークの活用で実現した事例を紹介する。NMEMS技術研究機構、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による共同研究事業「グリーンセンサ・ネットワークシステム技術開発プロジェクト」(2011年度~2014年度)の最終成果報告会(2月26日開催)における、セイコーインスツルの海法克享氏による「イベントドリブン型塵埃量センサの開発」と題する講演から構成した。

 精密工場では、品質の管理のために、室内の塵埃量を空調によって制御している(図1)。中でも、クリーンルームでは、厳密に管理されている。

図1●クリーンルームは塵埃量が過剰に抑えられている
従来は空調を常に一定に稼働させていた(出所:セイコーインスツルの海法氏)
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 クラス1万(1フィート立方=約28.8リットル中の0.5μm以上の微粒子が1万個以下の清浄度)や10万といった、比較的クリーン度が緩めのクリーンルームにおいても、塵埃量を一定以下に保つために、空調を常時、一定の出力で運転している。

 しかし、実際には、クリーン度の基準値よりも過剰に少ない塵埃量で運用されている。例えば、クラス10万のクリーンルームなのにもかかわらず、ほぼクラス1万のクリーン度で運用され、クリーンルームの運用として過剰な品質となっている。

 塵埃量によって、空調の制御を最適にできれば、過剰な空調を抑えることができる。この実現のために、塵埃量センサーによる無線センサーネットワークを構築し、塵埃量を空調にフィードバックし、省エネ化しようと考えた。