健康な人が受けるカウンセリングを目指す

 櫻本氏によれば、日本の悩める人たちは占いやスピリチュアルの市場に流れているとのこと。占い・スピリチュアル市場が1兆円、セミナー系の市場は2兆円、自己啓発に至っては書籍のみの市場で1000億円とそれぞれの規模感を示しながら、次のようにcotreeのビジョンを語った。

cotreeの櫻本氏
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 「本来であればカウンセリング市場はもう少し大きいはず。私たちが実現したいのは、今までのような高価なカウンセリングではなく、安価なカウンセリング。そして病気の人が受けるのではなく、健康な人が受けるカウンセリング、時間がかかるのではなく、いつでも簡単に受けられるカウンセリングだ」(櫻本氏)。

 同社のサービスは単なる悩みごと相談室では終わらない。まずは問題を明確化し、問題解決技法を提供する。そこには、心理教育、スキル学習、対人関係スキル、感情コントロールのスキル、目標設定・管理といったコーチング機能を付加している。「向こう側に人がいる。その人があなたのことを理解し、あなたの目標に向かって寄り添っているという感覚」(櫻本氏)を与えたいという。これら要素を組み合わせながら、自尊心を高めるプログラム、憂鬱さを改善するプログラム、不安を軽減するプログラム、価値をコントロールするためのプログラム、対人関係を改善するためのプログラムなどを開発中だ。

 前述した日本特有の事情から、「オンラインカウンセリング」のキーワード検索は非常に流入が少ない側面もあるが、2015年12月から始まる企業のストレスチェック制度や、内科の常設ラックに小冊子を設置するなどして各所と連携を深めていきたいと語る。「不安や不調を抱えているものの、病院に行くほどではないというタイミングは結構ある。しかし、そうしたタイミングで使えるサービスはほとんど存在しない。そこで薬を飲む代わりに、cotreeではアドバイスを受けることができる。変化がきちんと感じられるようなカウンセリングサービスを提供していきたい」(櫻本氏)。