エミュー2羽とヒツジ1頭が死ぬ

 とはいえ、前例がないだけに試行錯誤もあった。2013年6月に「久兵衛2号」が稼働した後、7月に家畜を導入し、すでに2年経った。実は、エミューは当初、6羽だったが、1年目に2羽が死んでしまった。

 1羽目が死んだ原因は、ストレスではないかという。「6羽のうち、死んだ1羽は当初から環境に馴染めなかったようで、仲間とは別に過ごす時間が多かった」(須賀課長代理)と振り返る。エミューが死んだ後、家畜保健衛生所に処理方法について相談し、家畜伝染病の可能性などを調べるために解剖したが、これといった死因は分からなかったという。

 これに対し、死んだ2羽目のエミューの場合、解剖の結果、胃からボルトが発見された。エミューは、ニワトリと同じように砂嚢と呼ばれる袋に小石を溜め、食べたものをすりつぶしてから消化する。工事中に落としたボルトを、小石と間違って飲み込んでしまった可能性がある。そこで、大分石油では、発電所内の地面にボルトやネジなどが落ちていないか調べ、すべて回収したという。

 1年目には、ヒツジも1頭、死んでしまった。ヒツジは当初、2頭導入したが、間もなく1頭生まれ、3頭になっていた(図7)。そんなか、夜の間に腹を裂かれ、出血多量で死んでいるのが見つかった。「フェンスと地面の隙間から侵入した野犬かタヌキの仕業でないか」とみている。この後、フェンスの下にブロックを並べてコンクリートで固めることで、外部から肉食の小動物が入れないようにした(図8)。

図7●外部から侵入した動物によってヒツジが殺される事件も(出所:日経BP)
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図8●野犬やタヌキが侵入できないようにフェンス下をブロックで固めた(出所:日経BP)
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