九州の国東半島の西側、周防灘に面した地域は、かつて大規模な干拓によって塩田が開発され、九州有数の製塩地帯だった。現在、その塩田跡地には、続々とメガソーラー(大規模太陽光発電所)が建設され、太陽の恵みを生かす開拓精神が引き継がれている。

 大分県宇佐市松崎も、そうしたメガソーラー集積地の一画にある。海沿いを走ると、かつて塩田だった入り江には、事業主の異なる複数の発電所が次々と現れる。青々とした草の茂っているメガソーラーが多いなか、雑草のほとんどない、こぎれいな発電所がある。出力約0.5MWの「久兵衛1号発電所」と、約1.1MWの「久兵衛2号発電所」だ。

 2つの発電所は、東九州で51カ所のガソリンスタンドなどを展開する大分石油(大分市)が建設した。草がほとんどない理由は、「久兵衛2号発電所」の入り口に近づくとすぐに分かる。フェンスに囲まれた発電所内では、巨大な鳥がパネルの前を闊歩し、地面の草をついばんでいる(図1)。フェンスには「エコ除草中・開放厳禁」と書かれ、エミューとヤギ、ヒツジの写真の入った注意書きが貼ってある(図2)。

図1●「久兵衛2号発電所」に導入したエミュー(出所:日経BP)
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図2●フェンスの扉には、家畜による除草を知らせる掲示を貼った(出所:日経BP)
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