市民ファンドで3100万円を調達

 まず、伊藤さんの単独出資で、2014年に「うさんこやま電力合同会社」を設立した。資本金は30万円。竹藪だった所有地を対象に、林地開発許可制度によって香川県から開発許可を得て、出力273kWの「うさんこやま未来発電所」を計画した。総事業費用は約9000万円で、そのうち3分の1を市民ファンド、残り3分の2を金融機関からの融資で賄う。

図10●「うさんこやま未来発電所」(出所:日経BP)
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図11●竹藪だった所有地を林地開発の手続きを経て開発した(出所:日経BP)
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図12●斜面に杭基礎で設置し、調整池はパネル下に取り付けた(出所:日経BP)
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 「うさんこやま未来発電所市民ファンド」は、契約期間10年の場合、目標利回り2%で、申込単位は10万円からとなる。2015年5月22日~6月25日の間に募集し、最終的に76人からの出資で、募集総額3100万円に達し、発電事業がスタートした。

 実は、「うさんこやま未来発電所」も、橘池に沿った道に面した山の斜面にある(図10、図11、図12)。三菱電機製の太陽光パネル、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製のPCSを採用した。池の対岸に行くと、5ブロックに分けて設置した横14枚、縦12~18段で並べた大面積のアレイが壮観だ。市民共同発電所らしく、目につきやすい場所にあるのが特徴だ。

 配当は、現金のほか、「現物」を選択でき、その場合、オリーブの塩漬けや黒ニンニクなどの香川県高松の特産品が届く。伊藤さんは、「市民参加に加え、地域の農家とも連携し、エネルギーの地産地消と農業の活性化を結びつけたい」と話す。

●設備の概要
発電所名うどん県マイソーラー国分寺新名発電所(第1期分)
住所高松市国分寺町新名柏原共有山林内
発電事業者うどん県電力(高松市)
出資者電工社エンジニアリング、三電計装、Wave Energy、インテグリティエナジーなど
融資高松信用金庫国分寺支店(2億円)
土地所有者共有地
設置面積約6000m2
出力太陽光パネル容量・630kW、パワーコンディショナー(PSC)定格出力・500kW
年間予想発電量約70万kWh
EPC(設計・調達・施工)サービスうどん県電力
O&M(運用・保守) うどん県電力
太陽光パネル三菱電機製・約2520枚
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
架台・基礎うどん県電力(コンクリート置き基礎・専用架台)
着工日2012年7月8日(起工式)
売電開始日2012年12月16日(竣工式)