基礎架台に2tの「トーフ」を採用

 「うどん県マイソーラー国分寺新名発電所」は、うどん県電力が発電主体となるとともに、EPC(設計・調達・施工)とO&M(運営・保守)も担う。香川県三豊市を発祥とするWave Energyが、パワーコンディショナー(PCS)と高圧変圧器を組み合わせたパッケージシステムを納入した。PCSは東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製、高圧変圧器は三菱電機製を採用した。太陽光パネルは三菱電機製、架台は電工社エンジニアリングが設計・製造した。

図7●「トーフ(豆腐)」と呼ぶコンクリートブロックを基礎に採用した(出所:日経BP)
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図8●アレイの高い方には「トーフ」2個を重ねて設置した(出所:日経BP)
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 設備面での大きな特徴は、「トーフ」と呼ばれるコンクリートブロックを置き基礎に使ったことだ(図7)。工場などで余って要らなくなったコンクリートを型枠に流し込んで固めたもので、豆腐のような立方体の形をしていのでこう呼ばれる。極めて安い値段で購入できるうえ、不要になった建材の有効活用という環境面での意義もある。

 同発電所では、縦・横1m、高さ50cmで重さ2tの「トーフ」を1個2500円で調達した。これにドリルで穴を開け、化学反応を利用した接着剤によって鋼棒を固着させる「接着系アンカー」という手法で、架台のネジを固定した。アレイ(パネルの組み付け単位)は縦6段の大面積とし、これを設置角5度で据え付けた。上段付近を支える基礎にはトーフを2個重ね、中段と下段付近の基礎は1個のトーフにすることで、5度の傾斜を出した(図8)。

 事業用地は、ため池に溜まった泥をかき出した残土を廃棄する処分地だった。香川県は瀬戸内海式気候で雨が少ないことから、渇水に備えて約1万4000カ所もの農業用ため池がある。ため池を維持するためには、定期的に底の泥を浚渫する必要があり、県内にはこうした浚渫残土の処理場が所々にある。底泥は固化材を混ぜて廃棄するため、処分地には植物が育ちにくいなど、その跡地の使い道がなかなか見つからなかった。

 橘池近くの山林のなかにも、そうした浚渫残土の処分場があった。「鷲の山共有山林」のなかに位置し、遊休地になっていた。約400人もの地権者の間では、その有効活用を巡り、度々議論されてきた。2012年に入ると、香川県内にも東京の大手資本によるメガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設計画が公表され始めた。こうしたなか、地元有志で地域のために太陽光発電を建設できないか、との声が出てきた。地元の中小企業が連携することで、利益やノウハウを地域に残し、地域活性化につなげるのが狙いだ。