地元の高校生の絵画を展示

 発電所に入ると、コンクリートの置き基礎に取り付けられた色鮮やかな絵画が目に入る。これらは、香川県立高松工芸高等学校・デザイン科の学生が太陽光をイメージして描いたものだ。約1m四方のアルミ板に、思い思いのデザインを焼き付けた。絵の右下隅にはそれぞれの作者名も入っている。サイト内の管路に面したコンクリート基礎を覆うように39枚を展示してあり、無機質になりがちな太陽光発電所に彩りを添えている(図3、図4、図5、図6)。

図3●コンクリートの置き基礎に絵画を取り付けた(出所:日経BP)
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図4●1m四方のアルミ板に焼き付けた(出所:日経BP)
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図5●香川県立高松工芸高等学校・デザイン科の学生が制作を担当した(出所:日経BP)
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図6●太陽をイメージしたものが多い(出所:日経BP)
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 「単なる地元企業の出資による再生可能エネルギーの開発にとどまらず、地元の人たちに定期的に見学に来てもらい、地域に根付いた再エネ発電所にしたかった。地元の学生たちと連携して絵画を展示したのもその一環」と、うどん県電力の伊藤伸一営業部長は言う。その狙い通り、同発電所は、地域に電力を供給するだけでなく、地元高校生の絵画作品を展示した“ギャラリー”にもなっているのだ。

 伊藤さんは、出資企業の三電計測の執行役員で、同社の太陽光発電関連事業を立ち上げから担ってきた。「再生可能エネルギー事業は、利益追求というよりも、いかに地域社会に根付き、還元できるかが重要」というのが持論だ。毎年5月には地元の国分寺南部小学校の4年生約150人を招いて見学会を実施したり、災害時の避難場所として活用したりするほか、年3回の除草作業を障害者に依頼することで、地域の雇用創出に貢献しているという。また、毎年、売電収入の一部を東日本大震災の被災地に寄付している。