香川県の高松駅から南東に約10km、県道183号線を走ると、農業用ため池「橘池」にぶつかり、視界が開ける。この池を左に見つつ、右に山道を折れると、間もなく山間の窪地に濃紺の太陽光パネルを整然と敷き詰めた発電所が目に入る(図1)。入り口に立てられた看板には、「うどん県電力株式会社・うどん県マイソーラー国分寺新名発電所」と書かれている(図2)。太陽光パネルの容量は630kW、連系出力は500kWだ。

図1●共有地に建設した「うどん県マイソーラー国分寺新名発電所」(出所:日経BP)
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図2●地場企業の出資で「うどん県電力株式会社」を設立した(出所:日経BP)
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 「うどん県」とは、香川県が観光キャンペーンの一環として、使っている同県の別名。「うどん県電力」(高松市)は、香川県の地場企業と同県と縁の深い企業などが出資して設立され、地元金融機関の融資を受けて太陽光発電所を建設した。2012年12月16日の竣工式は、香川県知事や高松市長、地元国会議員など150人以上が参加し、讃岐うどんが振る舞われるなど、盛大に開催された。

 出資したのは、建設会社の電工社エンジニアリング(高松市)、電気機器を扱う三電計装(高松市)、電力設備製造のWave Energy(東京都港区)、再生可能エネルギーに関するコンサルティングを手掛けるインテグリティエナジー(大阪府枚方市)など。資本金は合計1000万円。太陽光発電所の建設では、高松信用金庫から2億円の融資を受け、事業化が可能になった。