米国エネルギー省(DOE:Department of Energy)は、産業機器向け外部電源装置(ACアダプターや電圧変換器)に対する新たなエネルギー効率基準「レベルVI」を2014年2月に発表し、2016年2月に施行する予定である。新基準は、単に規制を厳しくするだけでなく、規制の対象範囲が拡大され、産業用途で使う高出力外部電源装置も含まれるようになる。外部電源装置や産業機器/装置のメーカー各社は、この新たな規制を理解し、この規制に向けて準備をしていく必要がある。

 外部電源装置のエネルギー性能に関する義務的規制は2004年に施行された。折しも、2004年には米カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC:California Energy Commission)が、エネルギー性能に関する世界初の規定を導入した。この規定は、1990年代にラップトップPCや、SOHO(small office home office)向け機器、携帯電話機といった電子機器が急速に普及したことに対応するものだった。

効率レベルをローマ数字で表す

 こうした機器で使用されていた電源の多くはリニア電源である。リニア電源は、場合によっては効率が50%と低く、機器の電源がオフあるいは、接続が切れていてもそれなりの電力を消費する。米国では、いわゆる待機電力が住居の総電力消費量のおよそ5%にあたると、1998年に算出された。これは、30億ドル相当のエネルギーの無駄にほかならない。

 CECが最初にエネルギーの無駄の削減と環境保護に動き出して以来、世界各国の規制当局は、規制の改善と整合化に取り組んできた。同じ時期に、ENERGY STARプログラムにより、電源効率を測定し適合を示す方法を標準化するための枠組みが確立された。このプログラムは、外部電源を対象とする現在の国際エネルギー効率表示協定の基礎を提供するものである。その表示協定により、製造業者は各電源装置の効率レベルを明確にして、ネームプレートにローマ数字で印字することが求められている(図1)。

図1 外部電源装置の国際エネルギー効率表示協定に従った効率の表示例 CUI社の写真。
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