福島県の中南部に位置する矢吹町と中島村は、なだらかな地形が多く、東北にありながら、比較的、積雪量は少ないなど、太陽光発電に向いている。ユーラス エナジー ホールディングス(東京都港区、以下、ユーラスエナジー)は、この2町村にまたがる用地に福島県最大級のメガソーラー(大規模太陽光発電)を建設し、2015年3月に営業運転を開始した。

 発電所名は、「ユーラス矢吹中島ソーラーパーク」。事業主体は、ユーラスエナジーの出資するSPC(特定目的会社)、ユーラス矢吹中島太陽光となる。太陽光パネルの出力は12.183MW、連系出力は8MWに達する。EPC(設計・調達・施工)サービスは四電エンジニアリングが担当し、パネルには京セラ製の多結晶シリコン型、パワーコンディショナー(PCS)には東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。

 同事業に対しては、東邦銀行と福島銀行による協調融資(シンジケートローン)を組成し、総額39億円400万円が融資された。また、東日本大震災を受けて開始された「再生可能エネルギー発電設備等導入促進支援対策事業(再生可能エネルギー発電設備等導入促進支援復興対策事業費補助金)」の対象事業となった。

 東北新幹線の新白河駅からクルマで30分ほど、県道44号線(棚倉矢吹線)を北上すると、車窓には田園風景が広がる。中島村役場を過ぎて間もなく、信号のない小道を右に折れると、針葉樹林をバックに、整然と敷き詰められた太陽光パネルが見えてくる。

 約28haのサイト全体はほぼ四角形だが、パネルを置いたエリアは角がやや突き出た格好になっており、折り紙で作った手裏剣のような形状をしている(図1)。もともとは、緩やかな丘陵に林が広がっていた。林地開発許可制度に従い、福島県から開発許可を得て、20%程度の森林エリアと治水対策の計画などを提出した上で発電所の建設に着手した。

図1●空から撮影した「ユーラス矢吹中島ソーラーパーク」(出所:ユーラス エナジー ホールディングス)
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