事故が相次ぎ、欧米で先行する耐火性の要求
太陽光パネルは、日中の日が射している時間は、常に発電している。もし、太陽光パネルが燃えたり、火炎に包まれるような状況になっても、発電は止まらない。
こうした場合、樹脂性バックシートが燃えやすいことが問題になる。日中に、樹脂性バックシートが燃えてしまうと、パネルは発電しているため、そのままひたすら燃え続けることになる。送電ケーブルを切断しても、パネルそのものの発電を止めることはできない。
太陽光発電の普及が先行したドイツなどの欧州各国では、こうした発電中の太陽光パネルの火災が問題視されているという。
消火にあたった消防士が命を落としてしまった事件が続いたことから、社会的な問題となり、太陽光パネルの耐火性に関する法律や規制が定められているとしている。米国でも同じように、太陽光パネルの耐火性への対応が強まりつつあるという。
日本国内では現在、太陽光パネルの耐火性に関する法律や規制は存在しないものの、検討が進んでいるようだ。
太陽光パネルの耐火性に関する基準には、例えば、米ULが定めている「UL790」がある。UL790では、樹脂性バックシートで封止したパネルの耐火性は、上から3番目となる「Class C」に該当するという。
UL790では、「火炎拡大試験」や「燃焼ブランド試験」を通じて、耐火性を評価する(図)。
「火炎拡大試験」では、軒下からの火災に対する安全性能を評価する。ガスバーナーを使い、風で煽った704℃の炎を、太陽光パネルの表面に接触させる。
「燃焼ブランド試験」では、さまざまな寸法の燃焼物を太陽光パネルの上に置いて、燃焼の拡大具合や、パネルから燃焼落下物が生じないか、パネルに穴が開くなどの損傷が生じないかを確認する。
両面ガラスの太陽光パネルは、耐火性に優れるガラスで両面から挟み込むために、パネルが火炎に包まれても、1000℃までは耐えられるという。UL790による評価では、最高レベルの耐火性を示す「Class A」となっている。
(次回は、8月6日に掲載予定)