10~20秒間隔の診療行為を高速で入力可能

 2014年1月~12月までの1年間で救命救急外来において医師が記載した初診カルテは約700レコード、そのうち看護師が診療行為を記録したER経過記録があるものは約630レコードで約91%だった(ER経過記録のないケースは、救急搬送されたが緊急処置を要しないケース)。

1年間の運用状況を分析
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 ER経過記録の記載開始から終了までの時間は平均1時間19分、ER経過記録1レコード(救急患者1人あたり)に記載された診療行為数は平均32件。最大で128件、最小で3件だったという。「1つの診療行為記録から次の記録までの間隔を分析すると、平均2分29秒で、1分以内の入力が47%と最も多かった。これをさらに分析すると、10~20秒間隔が最も多く、予想以上に短い間隔でひとまとまりの診療行為が実施されており、(救命救急外来用における)診療行為の記録には短時間に多数記載できる仕組みが必要であることが改めて明らかになった」(岡垣氏)とし、ER経過記録ツールがその要求に耐え得る高速入力ができていることをデータとして示されたと述べた。

 また、今回のシステムにより、どのような内容が記載されているか、あるいは心肺停止の患者が到着してから事故心拍が再開するまでのデータ等を容易に検索・分析できる。「従来こうしたデータを得られなかったため定量的評価は難しかったが、このシステムにより救命救急の現場での診療行為の実状をデータとして示すことができた。今後、救命救急のニーズに応じて、さらに詳細な診療行為の分析や予後との関係等の調査を行いたい」(岡垣氏)と発表を結んだ。

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