コストは人手による草刈りと同じ

図11●イビデンエンジニアリングの本社(出所:イビデンエンジニアリング)
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図12●アスファルトの上に設置した神戸事業場の太陽光発電所(出所:日経BP)
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図13●美濃加茂市の公園で実施しているヤギ除草(出所:美濃加茂市ホームページ)
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 イビデンエンジニアリングは、イビデングループの事業場など国内14拠点、18カ所に太陽光発電設備を設置してきた(図11)。2014年7月から順次発電を開始しており、すべて完成すれば、18カ所で合計10.3MWの発電容量となる。自社工場の屋根上のほか、遊休地などを活用した野立ての立地もある。

 水本事業部長は、「野立ての場合、除草対策をどうするか。人手で刈ることや家畜の放牧のほか、除草シートやアスファルト舗装、砂利の敷設など、20年間のコストを試算して検討してきた」と言う。その結果、「アスファルトなどで舗装すれば防草効果は高いが、建設コストが高くなる(図12)。家畜の場合、近くに除草用に貸し出しサービスを実施している牧場などがあれば、人手と同等のコストになるとわかった。人手と同じならば、環境性や癒し効果などのプラス面を考慮して家畜を導入する方向で検討し始めた」と言う。

 当初、岐阜県関ヶ原町の町営牧場が、除草用にヤギを貸し出していたため、この牧場から借りることで進めていた。だが、町外への貸し出しが難しいことになった。そこで、他を探していたところ、農業生産法人・フルージック(岐阜県高山市)が「山羊さんの除草隊」と称して、除草用にヤギを貸し出していることを知った。フルージックでは、岐阜県美濃加茂市で、銀杏畑の除草にヤギを活用した「山羊農業」を実践しており、ヤギを飼育していた。そのヤギを公園や里山、工場の緑地などの除草に貸し出していた(図13)。