今回から、両面ガラスの太陽光パネルによる信頼性の向上について、中国の大手太陽光パネルメーカーの日本法人であるトリナ・ソーラー・ジャパン(東京都港区)が開催した発表会の内容から紹介する。従来の樹脂製バックシートを使った太陽光パネルにおける信頼性の課題を、2枚のガラスで挟み込んだ密閉構造によって解消する(関連ニュースメガソーラー探訪の関連記事)。

 両面ガラスの太陽光パネルは、今後のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の信頼性の向上を可能にする技術として注目されている。従来の樹脂製バックシートによる封止の課題とされる、長期信頼性が向上する可能性もある。

 樹脂製のバックシートは、水分や、酸、アルカリなどを浸透させてしまうことから、太陽光パネルに生じるトラブルの原因の一つとなっている。

 両面ガラスのパネルは、樹脂製のバックシートを表面と同じようにガラスに代え、2枚のガラスで封止する。これによって、水分などを通さない密閉構造になり、長期信頼性が向上する。

 樹脂製バックシートに起因するトラブルの一つに、「スネイルライン」、「スネイルトレイル」と呼ばれる現象がある(図1~2)。太陽電池セル(発電素子)の表面に、カタツムリがはった跡のような、色の濃い部分が線状に生じる。

図1●マイクロクラックがある場所に、水分が浸透して生じる「スネイルライン」(左)
マイクロクラックの抑制と、水分の浸透の抑制で防げる
(出所:トリナ・ソーラー・ジャパン)
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図2●カタツムリがはった跡のような、色の濃い部分が線状に生じる
生じたスネイルラインは、高さが異なる(右)
(出所:トリナ・ソーラー)
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 元々、マイクロクラック(微細な割れ)が生じていた場所に、樹脂製バックシートから湿気が入り込むことで、発生する可能性がある。初期段階では発電量に影響しないものの、将来的にトラブルを引き起こす恐れがある。