1.はじめに

 橋梁やトンネルなどの建設工事では、構造物を精度良く建設するために測量は不可欠な技術であり、頻繁に実施されている。測量技術は近年、測量機器の開発、改良が進むとともに、GPSを用いた測量システム1)など、新たな測量システムも開発、実用化されている。この中で、航空写真だけでなく、近年、技術的進歩が著しいデジタルカメラを用いた写真測量に関しても開発が進み、適用範囲を広げている2)

 一方、情報システム分野の技術的進歩はめざましいものがあり、建設産業でもICタグを用いた情報管理システムなど、新しい情報システムを適用する事例が増えつつある。この中で可視光通信は世界に先駆け、我が国で研究、開発が進んでいる次世代の通信技術である。可視光通信は、目に見える「可視光」を使用して高速データ通信を行う最先端通信技術であり、LEDなどの照明機器を目視で識別できないほどの高速で点滅させることにより、大容量のデジタルデータを送信し、それを受光装置で受信することにより通信する技術である。本技術は、照明を用いた案内情報配信実験が関西国際空港で行われるなど、さまざまな分野で実用化に向けた開発が進められている。

 著者らは、写真測量技術と可視光通信技術を組み合わせた新しい位置計測システムを開発した3)(図1)。本稿ではその概要を紹介する。

図1 可視光通信を用いた3次元位置計測システム概要図
[画像のクリックで拡大表示]