太陽光発電所の建設工事は、建築基準法が適用されない工作物になる場合が多いことから(平成23年3月25日付国土交通省住宅局建築指導課長発「太陽光発電設備等に係る建築基準法の取扱いについて」)、建設業許可がなくても施工できるのではないかという質問を寄せられることがある。しかし、建設業法上、建設業許可が必要となる工事は、建築基準法の適用の有無で区別されるものではないため、太陽光発電所の建築にあたり、建設業許可が必要となる。

 建設業許可は、工事の内容、工事の規模(下請業者に発注する工事の金額)に応じて、必要な許可が異なっている(建設業法3条1項、2項)。

 (1)太陽光発電システムの建築工事についていかなる許可を有する業者が受注できるかについては、再エネ特措法が施行された当初必ずしも明らかにされていなかったが、平成26年12月25日付総合政策局建設業課長発「建設業許可事務ガイドラインについて」において、「屋根一体型の太陽光パネル設置工事は『屋根工事』に該当する。太陽光発電設備の設置工事は『電気工事』に該当し、太陽光パネルを屋根に設置する場合は、屋根等の止水処理を行う工事が含まれる。」と取扱いが明確化された。

 以上から、野立てのメガソーラーを設置する工事においては、「電気工事業」の建設業許可を有する元請業者に発注するのが原則となる。もっとも、同時に施工される工事の内容に応じて、「土木工事業」の建設業許可を有する元請業者に発注することも認められる場合が有るようであるため、所轄行政庁に確認することが考えられる。

 ここでいう所轄行政庁とは、当該建設業者の許可行政庁のことを想定している。建設業法の解釈・運用については行政庁によってかなり異なっている場合があるため、適切な行政庁にヒアリングすべきであろう。

 (2)また、建設業許可は、発注する下請工事の金額等に応じて、「一般建設業」と「特定建設業」の二種類の許可に分かれている。電気工事業については、当該工事について3000万円以上の下請工事が発生する元請業者について、特定建設業の許可が必要であるとされる。メガソーラーの建設工事においては、工事代金額が数億円にのぼるものであり、下請工事が3000万円を超える場合も多く、特定建設業許可を有する事業者に発注することが必要である。

 (3)上記にもかかわらず、必要な建設業許可を有さない商社が材工込の価格での受注、すなわち工事請負契約を締結する場合がしばしば見受けられるところであるため、メガソーラー事業に関与する各業者においては注意が必要である。