九州電力・能見和司執行役員・経営企画本部副本部長

九州電力が昨年9月末に発表したことを機に広がった、接続申し込みへの回答保留は、各社の「接続可能量」が決まったことで、解除された。「無制限・無補償」の出力抑制を受け入れれば、電力会社は系統への接続を拒否できなくなった。そこで、次に焦点となるのは、実際にどのくらい出力を抑制されるか、それを示す「出力制御率」の予測だ。九州電力の能見和司執行役員・経営企画本部副本部長に、九電の接続可能量に決まった「917万kW」(太陽光817万kW、風力100万kW)について、その背景と、今後の出力制御率の行方について聞いた。

――これまで、九州電力は、再生可能エネルギーの接続に関し、「700万kW」は技術的に実現したいと表明していました(関連記事1同インタビュー2)。経済産業省の系統ワーキンググループ(系統WG)を通じ、九電の太陽光の接続可能量は、「817万kW」に決まりました。

能見 もともと「700万kW」という数値は、接続可能量として示した数値ではありません。固定価格買取制度(FIT)の施行から半年後に、2020年頃までの接続申し込みの見通しとして示し、受け入れられるように努力しようという目安でした。接続できる限界でもないし、受け入れを保証するものでもありませんでした。

 九電管内の日中の電力需要のピークは、平均約800万kWです。そこに、出力の変動する電源を「700万kW」接続するのは、挑戦的なことですが、技術の動向などを踏まえて、数年後には何とか実現できると見込んでいました。

 九電では、自社グループでも再エネの導入に取り組んでいますし、他の発電事業者による再エネ発電電力も最大限、送電網に受け入れたいと考えています。

 しかし、太陽光発電を中心に、想定していた以上のペースで接続申し込みがあり、あっという間に、700万kWを超えるところまできました。再エネ発電電力を受け入れたいと考えていても、需要を上回る量の電力を受け入れ、電力供給の安全性を損ねることはできません。そこで、接続申し込みに対する回答を、一時的に保留することになり、発電事業者に迷惑をかけてしまいました。