福島県棚倉町は、県南部に位置し、古くは棚倉藩の城下町として、栄えてきた。いまでも棚倉城跡を中心に役所や駅があり、由緒ある歴史と独特の文化が息づいている。気候は穏やかで積雪量は少ない。台風などによる水害も多くないことから、太陽光発電には向いている。

 ただ、町の大部分は、なだらかな丘陵が続き、全体の約7割を森林が占める。数少ない川沿いの平坦な土地には田畑が広がっている。メガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設しやすい、まとまった広い平地は少ない。

 町の中心となる棚倉城跡からクルマで10分ほど、久慈川の支流沿いを南下していくと、川を挟んだ丘陵の斜面に並べられた太陽光パネルが目に入る(図1)。出力500kWの「juwi自然電力福島棚倉太陽光発電所」だ。juwi(ユーイ)自然電力(東京都文京区)がEPC(設計・調達・施工)サービスを担当し、3月31日に発電を開始した。発電事業の主体も、juwi自然電力となる。

図1●丘陵に設置した「juwi自然電力福島棚倉太陽光発電所」(出所:日経BP)
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 道を左に折れ、丘陵を上っていくと、同発電所の入り口がある。敷地は、背後に林、前には川の土手になっている細長い形状で、地目は雑種地。太陽光発電所を建設する前には資材置き場などに使われていた。juwi自然電力の野田翔プロジェクトマネージャーは「今回のプロジェクトは、他社が計画を進めたものの、進捗が滞っていた案件を自然電力が譲り受けたもの。自然電力グループとして、既存のプロジェクトを買収した案件は初めて」という。