前回に続き、NTTスマイルエナジー(大阪市)による、クラウドコンピューティングを使った電力の見える化サービス「エコめがね」を通じて把握したトラブル事例や、その傾向などについて紹介する。

 NTTスマイルエナジー(大阪市)の「エコめがね」は、クラウドコンピューティングによって、太陽光発電システムの発電状況を遠隔監視するサービスである。

 エコめがねの導入数は4万台以上、導入済みの太陽光発電システムの合計出力は500MWに達している。エコめがねを取り扱う太陽光発電設備の販売会社も、1200社に拡大している。

 FITに基づく売電用の発電システムへの導入件数は、1万件以上となっている。サービスやシステムの設計上、低圧案件に向き、売電用の低圧の発電システム向けに広く普及している。

 NTTスマイルエナジーによると、「エコめがね」を導入した太陽光発電システムにおける、異常検知や発電停止検知の比率は、想定していた以上に多い。特に、夏に比率が高くなる。

 エコめがねを導入した太陽光発電システムのうち、2014年7月には3.9%、同年8月には5.1%が発電停止を検知した(図1)。

図1●2014年8月は、全国の約8800カ所の低圧案件の停止に匹敵
エコめがねを導入済みの太陽光発電設備の5.1%が発電を停止(出所:NTTスマイルエナジー)
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 落雷や暴風雨による影響で、パワーコンディショナー(PCS)の安全機能が働き、稼働を停止する場合が多いためとみられる。

 「エコめがね」のユーザーのうち、8月に5.1%が発電停止していたという数値は、全国で稼働済みのすべての低圧の太陽光発電システムのうち、約8800カ所の発電システムが停止したことに相当する。

 こうした発電停止は、遠隔監視を導入していないと、迅速に把握することが難しい。全国で稼働済みの約17.3万件の低圧の発電システムのうち、約80%は監視システムを導入していないという。

 低圧案件では、自動復帰機能が認められているので、自動的に再連系して売電していることもあるが、手動復帰モードの場合、停止に気付かなければ、売電量の減少につながる可能性もある。