鹿児島の南南西約500kmに位置する徳之島は、奄美群島に属する離島の1つで、琉球と薩摩の両方から影響を受けた歴史や独自の文化を持つ(図1)。農業が盛んで、奄美群島の中で最も多くサトウキビが生産されている。アマミノクロウサギをはじめ希少な動物も多い(図2)。

図1●徳之島の位置と地図(出所:徳之島町ホームページ)
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図2●徳之島の喜念浜海岸(出所:徳之島観光連盟ホームページ)
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 島内には3つの町があり、約1万1000人が暮らしている。電力需要は島全体で12~13MW程度、九州電力が3カ所の火力発電所から電力を供給している。3カ所合わせてディーゼルエンジン発電機10基で30.5MWの設備となる。同島では、2013年に日光エナジー開発(大阪市)が900kWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)を稼働し、住宅用と合わせ約2MWの太陽光発電設備が稼働しているが、2013年以降、メガソーラーは増えなかった。

 というのは、電力系統の規模が小さいため、出力変動が大きいメガソーラーを多く接続すると、急峻な出力の増減に火力発電の出力調整が追い付かず、需給バランスが崩れて、周波数の変動が大きくなってしまうからだ。こうした現象を周波数の「短周期変動」と呼ぶ。九州電力は、徳之島に新規でメガソーラーを接続する場合には、短周期変動への対策として、蓄電池を併設することを求めていた。だが、固定価格買取制度(FIT)の下であっても、蓄電池を併設すると事業性が確保できなかった。