はるたか会の前田氏
はるたか会の前田氏
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 地域包括ケアシステムに不可欠な多職種連携。この多職種連携と在宅ケアの業務効率化を支援するサービス「bmic-ZR(ビーミックゼットアール)2.0」を、ソネットが2015年4月末に開始した(関連記事)

 バージョンアップ前のbmic-ZRを実際に導入した医療法人はるたか会 理事長の前田浩利氏は、2015年4月27日にソネットが開催したプレスセミナーに登壇、地域包括ケアの現状やbmic-ZRの有用性などを語った。なお、はるたか会は、全国的にも珍しいという児童の訪問看護を行っている。

高齢者だけではなく子供も

 前田氏はまず、現在の日本で地域包括ケアシステムが重要な理由を解説した。今後高齢化がさらに進むと年間の死亡者数が増加傾向になり、2040年には166万人になるという。ここ数十年は医療の発達に伴い、老後は病院で治療を受け、病院で亡くなるというケースが増えていた。

 しかし高齢者の人数が増えると病院のベッド数が足りなくなるため、入院できない人が出て来る。その結果、今後は在宅ケアを選択する人が増えていくとした。すると、その人を支えるのは病院だけではなく、地域の診療所や薬局、ケアマネジャーなど地域全体となる。

 一方で、子供の死亡者数は減少を続けており、特に新生児の死亡者数は1000人当たり1人と世界一低いという。これは、昔は助けられなかった未熟児や障害児が生きられることも意味しており、新生児集中治療室(NICU)のベッド数が足りなくなるという事態も招いた。

 そこでNICUに入院している子供を退院させる動きが進んだが、退院後も人工呼吸器などの医療機器を使い、ケアを受け続ける必要のある子供が自宅にいるという状態を生んだ。そのため、地域包括ケアシステムは高齢者だけでなく、こうした子供も対象に考える必要があるとした。