タヌキの侵入を網で防ぐ

 サニーヘルス社員で、電気主任技術者の清藤嘉夫さんが、案内してくれた。清藤さんは、元東北電力の技術者で、東日本大震災では福島県で津波に被災した。建設中からサイトに常駐し、設備設計などに意見を出してきた。例えば、故障時のメールによる緊急呼び出しの必要性に関し、故障内容によってどのように区分けするかなど、電気主任技術者の立場から要望してきたという。

図9●受変電設備に小動物が入り込まないよう、フェンスに網を張り付けた(出所:日経BP)
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図10●排水口の周囲に土のうを積んで、濁水の流出を防ぐ(出所:日経BP)
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 広い発電所は、標高差が100mにも達する山の斜面にある。定期点検などでは、軽自動車を使い、アレイとアレイの間を縫うように上り下りして巡回する。「狸森(むじなもり)という地名にもあるように、この辺りにはタヌキなどの野生動物も多い。受変電設備に入り込まないよう、フェンスに網を張り付けた」と言う(図9)。

 「大がかりな造成はしなかったものの、建設中に雨が降ると、排水口から隣接地に流れ出る泥水の量が増えるという課題があった。そこで排水口の周囲に土のうを積んで、濁水の流出を防ぐなど、設置工事の仕上がりだけでなく、周囲への気配りも含め、施工会社はとても丁寧な仕事をしてくれた」と、その仕事ぶりを振り返る(図10)。

 サニーヘルスの渥美・新事業部部長は、「自社開発の案件にあえて福島県を選んだのは、原発から再生可能エネルギーへという方向性が明確で、地域にも貢献できる。実際に、県や市などの自治体、地域の自治会はたいへん好意的で、建設の遂行に協力してくれた」と感謝する。

●設備の概要
発電所名サニーソーラー福島中央発電所
住所福島県須賀川市狸森字長沢1番地(福島空港ゴルフクラブ跡地)
発電事業者サニーヘルス
土地所有者サニーヘルス
設置面積約76万4635m2
出力21MW(PCS・連系出力)、26.2MW(太陽光パネル出力)
年間予想発電量約2600万kWh
EPC(設計・調達・施工)サービスJFEエンジニアリング
O&M(運用・保守)オリックスファシリティーズ
太陽光パネルハンファQセルズ製多結晶シリコン型(10万4916枚)
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製(500kW機×42台)
架台ドイツ・シュレッター製
自営線鉄塔施工会社愛工大興
自営線埋設施工会社桐井電設工業
着工年月2014年1月
竣工年月2015年3月