今回から、NTTスマイルエナジー(大阪府大阪市)による、クラウドコンピューティングを使った電力の見える化サービス「エコめがね」を通じて把握したトラブル事例や、その傾向などについて紹介する。

 NTTスマイルエナジーは、西日本電信電話(NTT西日本)とオムロンの合弁会社で、2011年6月に設立された。電力消費量や太陽光発電システムによる発電量などを「見える化」し、省エネルギーや創エネルギーを促進するためのサービスを提供している。

 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の開始後は、家庭向けだけでなく、太陽光発電事業者向けに、遠隔監視サービスの提供にも乗り出した。

 「エコめがね」は、クラウドコンピューティングによって、太陽光発電の発電状況を遠隔監視するサービス。顧客の太陽光パネルにセンサー端末を取り付け、発電量データを計測してクラウド上に蓄積する。

 発電事業者がパソコンやスマートフォンなどを使って発電量を把握したり、顧客の必要に応じて太陽光発電システム販売会社が遠隔監視を担当する。

 太陽光発電システムは当初、メンテナンスフリーというイメージもあった。だが、「10年間に約3割の発電システムに何らかの故障が起きるという統計データもあるなど、放置していることで生じる発電ロスは無視できないとわかってきた」(NTTスマイルエナジー)。

 しかも、「10年間に約3割」という比率は、発電設備の「故障」によるものに限られるという。

 太陽光発電では、発電設備の故障以外に、周辺への落雷の影響や送電網の停電をはじめ、発電設備の故障に起因しない発電停止も多い。

 クラウドを活用した手軽な遠隔監視サービスによって、こうしたロスを最小化できると考え、サービスの提供を開始した。