中国のディスプレー産業およびパネルメーカーの実力は、大型では既に先行する日本・韓国・台湾をキャッチアップし、中小型でも先行組のすぐ後ろに付けている(関連記事1関連記事2関連記事3)。深センで2015年4月9日から3日間の会期で開催された「第3回中国電子信息博覧会(CITE 2015)」に併設されたフォーラムでは、急速に発展する中国ディスプレー産業の背景やディスプレー関連メーカー各社の技術の詳細を知ることができた。

 特に注目すべきは、中国メーカーの有機ELに対する思い入れである。技術開発で先行する日本や韓国でも実用化に苦しんでおり、有機ELは液晶に取って変わることができないでいるが、中国で一気に花開く可能性がある。

政府が強力に後押し、進撃する中国ディスプレー産業

 フォーラムの開会の辞では、中国TCL社 董事長の李東生氏が、今回のフォーラムの主催者である深セン市ディスプレー協会会長の立場で挨拶を行った。

 李氏は挨拶の中で「国家が現在策定している第十三次五カ年計画では、新型ディスプレーデバイス(関連記事4)を引き続き国の重大プロジェクトとする可能性が大きい。この産業を引き続き強力に支援する計画である。このうち、有機ELディスプレーは最も重要な部分である。このプロジェクトを実現するために、国内メーカーと協力して印刷法などの重要な技術の開発を進めている」と語り、現在のディスプレー産業の主力である液晶の先をにらんで、中国政府も強力にバックアップしているというメッセージを発信した。

30年先を見た「製造強国」への道

 最初の講演に立った国家工業和信息化部 電子信息司の喬躍山氏は、李克強首相の発言を引き合いに出し、「中国政府もディスプレー産業に対して強力にサポートしている」と切り出した。その内容とは「ハイエンドへの産業構造を推進するための施策『中国製造2025』を実施し、工業化と情報化の深い融合を促進し、ネットワーク化やデジタル化、インテリジェント化などの技術を開発・利用し、幾つかの主要な分野に力を入れて先手を取って突破する」というものである。

 この「中国製造2025」は2016年の発布に向けて策定途中であり、その骨子は「三歩走」戦略と呼ぶ“10年ごとに3段階の発展”によって30年先の2045年には強大な製造国家を構築するという壮大なプランである。その最初の一歩が2025年までの10年間になり、現在の「製造大国」から「製造強国」になることを目指すという。

 ディスプレー産業に対しては、「特に新技術の発展を重要視し、川上から川下にわたる産業チェーンを完成させることなどを目指して、様々な政策によって導いていく」している。