「テクノロジーがなければ医療情報を扱うべきでない」

 次に選ばれたキーワードは「テクノロジー」。これに対して豊田氏は、自社と海外の事例を紹介。自社サービスについては「正しく安全で公平性のある医療情報を扱うために、さまざまな議論や注力をしている。逆に、それができるテクノロジーなどがなければ医療情報を扱うべきではない」との持論を展開した。

メドレー 代表取締役医師 豊田剛一郎氏
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 海外の事例は、アメリカの自動診断支援ソフト「Isabel(イザベル)」を紹介。きちんと作り込んだ医療情報のデータベースを正しいアルゴリズムで運用すれば、医師の診断をサポートし誤診率を減らすことができるため、「自社でも同じようなサービスを作ろうとしている」と豊田氏は語った。

 大石氏は「医療業界のIT化の遅れ」を指摘。その理由として「医師の高齢化」「投資や人材の不足」「ITへの不信感や過度な安全要求」などを挙げた。しかし、東日本大震災を契機に医療業界でもIT化が前進した他、IT化を実現するための費用が以前に比べて格段に安くなったことも追い風になっていると指摘。「いい製品やサービスが出てくれば」という条件は付けたものの、今後は「面白い時代に入るのではないか」との見解を示した。

 ITビジネスの最前線にいる高村氏は、新しく取り組んでいるサービスを紹介。インターネットで自分が気になる健康情報の記事やニュースを見ながら、そのままオンラインチャットで医師に相談できるような仕組みを考えているそうだ。イメージとしては、例えばダイエットを考えている人が関連のニュースサイトを見ながら、オンラインチャットで気軽に「痩せるにはどうしたらいいのか?」と医師に相談できるといったシステム。法改正などが進めばオンラインでの診療も可能となるため、「現在はよりオンタイムでユーザーの意見に応えられるようなシステムやアプリを開発している」と答えた。