北陸新幹線を降りると、LRT(次世代型路面電車)が待ち受け、市街のあちこちで自転車を共同利用できる――富山市は、環境負荷の少ない先進的な交通システムで知られる。加えて、再生可能エネルギーの開発も進んでいる。4月10日、市街からクルマで30分ほど、富山市舟倉の山間で、北陸で最大規模となる出力7.7MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「SGET富山メガソーラー発電所」の竣工式が行われた(図1)。

図1●北陸最大規模となる「SGET富山メガソーラー発電所」(出所:スパークス・グループ)
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 「舟倉の県有地をどう活用するかは、大きな懸案だった。今回、メガソーラーが完成したことで、県が進める再生可能エネルギーの推進にも貢献することになった…」。竣工式に参加した石井隆一・富山県知事は、こうあいさつした。同県は水力に恵まれ、その発電量は、県内の電力需要の7割を超え、さらに小水力発電の新規開発にも力を入れている。

 富山県や富山市は、いまでこそ自他ともに認める環境先進地域だが、1910年代以降、「イタイイタイ病」で苦しんだ歴史を持つ。実は、石井知事が祝辞で述べた「有効活用が懸案だった県有地」とは、カドミウム汚染からの脱却で残された負の遺産ともいえた。