一方、検体管理用の情報登録時には、ヒューマンエラーを削減するため、バーコードスキャンによるデータ入力を行っている。検体分注処理された血漿、バフィーコート(濃縮白血球バンド)、DNA、血清、脳脊髄液などはバーコードが貼付されたチューブに保管され、バーコードスキャナーでチューブIDを読み込み、検体ラックに入れて一時保存される。検体ラックには96本のチューブを格納可能だ。個々のチューブのラック内の位置情報は、専用のスキャナーにより、格納した状態で読み取ることができる。検体ラックをフリーザー内の棚に格納する際には、縦3段・横6列のケースに収める。どのフリーザーのどの位置に収容されているかをiPadに入力すると、位置情報が確定する。

フリーザーに収納する際には検体ラックを収めるケース(左)のどの位置に入れ、フリーザー内のどの棚に入れたか、iPadのフリーザー見取り図(右)にそれぞれの情報を入力し、位置情報を確定する。
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 こうして確定した検体チューブの位置情報は、FileMaker Server側のサーバーサイドスクリプトによってシステムに反映される。

 バイオリソースを他の研究機関などに提供した際には、払出画面で払出先、払出量、残量などを入力することで、管理画面から一元的に参照できる。「従来、Excelで検体管理を行っていたときは、いつ分注・再分注を行い、どこに払い出したかをきちんと管理するのは非常に手間がかかり、ミスも発生しがちでした。このシステムで一元管理できるようになり、管理工数は大きく改善されました」(服部氏)。

検体採取に関する情報、検体の種類、保管された検体の位置情報などが集約される検体管理画面
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