コミュニケーション技術を広める

 一方、竹川氏は今回のシンポジウムの主催、共催が厚生労働省や医療機器メーカー、製薬会社といった医療に関連の強い団体ではないという点が重要だと語った。「一般企業ががんについて真剣に考え始めていることの証ではないか」と考えるためである。

国立病院機構の名古屋医療センター緩和ケア科医長の竹川茂氏
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 講演では同氏の略歴と関わってきた活動について紹介。竹川氏は元々は外科医だった。患者とのコミュニケーションに悩んでいた時期にがん哲学外来に出会ったことをきっかけとして、コミュニケーション技術を広める活動を始めた。がん患者は告知後、うつになってしまう人もいる。伝え方を学び、工夫することでその割合を下げられるとした。現在は、金沢でのメディカルカフェの立ち上げをはじめ、名古屋、静岡と3カ所のがん哲学外来に関わっている。

 最後に「八方ふさがりでも天は開いている」、「人生いばらの道、されど宴会」といった樋野氏の言葉を紹介し、今後も患者と対話し、寄り添っていくと語った。