精度の高い「見守り」が可能に

 筆者は同会場で、RT.ワークス 代表取締役社長の河野誠氏に話を聞くことができた。河野氏は、ソニー、船井電機でのエンジニアを経てRT.ワークスを起業した。前述のウォーキングバイシクルはもとより、CYBERDYNEの「ロボットスーツHAL」や次世代パーソナルモビリティの「WHILL(ウィル)」「Luggie(ラギー)」といった、いわゆる生活支援機器(ロボット)の新潮流に大きなシンパシーを寄せているという。

――7月の発売に向けての手応えはどうか。

河野氏 事前に予約受付を開始した。さまざまな展示会やイベントを通して既に申し込みがある。本体価格と通信費で、およそ24万円程度が通常の販売価格になると想定しているが、伊勢丹で申し込むと19万8000円の特別割引価格になる。

電動歩行アシストカートの「ロボットアシストウォーカー RT.1」。最大10度までの登坂、最大10kgまでの積載が可能。6軸のモーションセンサーで路面状況や人の動きを感知し、適切な歩行をアシストする
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――RT.1は単なる電動アシストカーではなく、通信機能を搭載しているのがユニーク。これをどのように活用するのか。

河野氏 本体にSIMカードとGPSを搭載しており、3G回線を介して、自分で登録したスマートフォンやパソコンなどに常時データを送信する。そしてRT.1から採取した情報を専用サイト上で閲覧できる仕組みだ。

 これらを利用すれば、精度の高い「見守り」が可能になる。遠距離で暮らす家族が地図上のどこにいるか、今日は何km歩いたか、平均時速は何kmか、カロリーをどの程度消費したのか。さらに、万が一転倒した場合は、緊急通知機能で閲覧側の管理者に情報を送信する。これらのサービスを標準で搭載している。

 歩行データというのは、まさにその人の行動が見えるもの。例えば「昨日まで平均2.5kmの距離を歩いていたのに、今日は1kmになった。ずいぶんペースが落ちているな」といった具合だ。頻度だけではなく、速度、歩く時間、距離といった生活範囲の参加パターンを通じて、生活の中の変化に気づくことができる。