HEV向けシステムを構成する主要部品にはモータやインバータ、電源システム、高電圧補機システムなどがある。このうち、今回はモータとインバータについて取り上げる(電源システムと高電圧補機システムは次回掲載)。車載用モータとしては交流モータが多用され、小型・軽量化や高出力、高回転などが求められている。インバータはパワー素子やコンデンサ、制御回路から成る。それぞれの特徴や要求事項などについて解説する。

 ハイブリッド車(HEV)を動かす心臓部となるのがモータである。まず、その特徴などを見ていこう。

 モータは、HEVおよび電気自動車(EV)の駆動力を実現する重要な部品である。乗用車の走行用として使われるモータの場合、出力は10k~60kW程度が一般的だ。市販車両を改造したEVや小型EVでは直流(DC)モータが使われるが、主流となっているのは交流(AC)モータである(表1)。

表1モータの分類と用途
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永久磁石式モータを多用

 HEV用モータへの要求項目としては、小型にするための高出力化や高回転化、高電圧化、燃費向上のための高効率化、さらに走行システムとしてのメンテナンスフリー化などが挙げられる。DCモータとACモータに分けて、要求項目に対する得失を表2にまとめた。

表2HEV用モータとしての得失
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 高電圧への対応やメンテナンスの点ではACモータが有利で、その中でも小型・高効率な永久磁石式モータが多く採用されている。永久磁石はネオジム系などの希土類磁石が採用され、大幅な小型・高出力化を図っている。