今やすっかり大衆車となったHEV。モータの活用によって、エンジン自動車の欠点である始動時や加速時/減速時のエネルギー消費と排ガスの発生を大幅に改善する一方で、EVの欠点である走行距離と充電時間の問題を解決した。今回は、HEVシステムの種類や特徴について解説する。

 ハイブリッド車(HEV)のシステムはエンジン自動車と電気自動車(EV)の技術をうまく組み合わせたもので、EVに採用されているモータや電池の技術を活用している。EVは自動車の黎明期から存在し、1900年以前から実用化されているものの、本格的な普及は実現していない。

 日本では第2次世界大戦後、ガソリンの入手が困難な時期に代替エネルギー車としてEVが販売された。1949年には国内のEV生産台数が3299台と、自動車全保有台数の3%に相当するまでになった。しかし、エンジン自動車の改良やガソリンスタンドの普及によって、EVは衰退していく。

 その後、1971年に今度は環境対応車としてのEVの開発が始まった。当時の通商産業省 工業技術院が大型プロジェクト制度(自動車/電機/電池メーカーが参加)によるEVの研究開発を開始し、多くの自動車メーカーや部品メーカーが力を入れて取り組んだ。しかし、1980年以降、エンジン自動車の排ガス浄化技術の進歩で、EVはまた姿を消した。

 さらに20年を経て1990年、米国カリフォルニア州の排ガス規制「ZEV法案(ゼロ・エミッション・ビークル法)」が制定された。当時はEV以外にこの規制をクリアできるものがなく、EVの開発が再び始まることとなった。

 規制への対応時期は1998年であり、決められた比率のEVを売らなければならないため、各社が必死になって開発に取り組んだ。しかし、この規制も予定通りには実施されず、数年の限定生産で幕を閉じることになった。