神戸物産の沼田昭二CEO
(撮影:日経BP)

 メガソーラー(大規模太陽光発電所)の運用には、未知の部分が多く残っている。20年間の売電期間中に、どのような劣化やトラブルが生じるリスクがあるのか、誰も経験したことがないからだ。こうした状況に対して、業務用の食品スーパーをフランチャイズ展開する神戸物産が、太陽光パネル単位で発電や劣化の状況をリアルタイムで監視するなど、リスクを明確にする取り組みを発表した(関連ニュース1同2)。その背景や狙いを、神戸物産の沼田昭二CEO(最高経営責任者)に聞いた。

 同社は、長期的に合計出力400MWの太陽光発電システムを設置する目標で、現在、経済産業省による設備認定済みの発電システムの合計出力は約355MWに達している。そのうち、稼働中が15.6MW(メガソーラー探訪の関連記事)、建設中が4.2MW、開発中が194.6MW、電力会社からの連系承諾待ちが32.2MWとなっている。

――自社で開発する太陽光発電所について、EPC(設計・調達・施工)サービスやO&M(運用・保守)を強化すると発表しました。その理由として、現状の太陽光発電システムの運転管理や保守点検に「大きな問題があり、外的要因による設備故障などの発電ロスが頻繁に起こることへの対応が必要になった」ことを挙げています。また、太陽光パネルの経年劣化への対応を突き詰める狙いが示されています。これまでの経緯などを教えてください。

沼田 太陽光発電所の管理について、疑問を持っていました。20年間使う発電設備を、どのように管理していくのか、未知のことが多かったからです。

 食品スーパーという業務上、海外企業との取引が多く、ドイツやイタリアといった太陽光発電で先行してきた国に訪問した際にも、情報を収集してきました。しかし、発電設備のトラブルや劣化への備えについて、確固とした解がないことを知りました。

 そこで、それぞれの発電設備で起こり得る不具合と、その対処法を検討することにしました。最大のリスクは、太陽光パネルでした。

 中でも、太陽光パネルの劣化をいかに把握するのかがカギを握ります。メガソーラーに万枚単位で並んでいるパネルのうち、数年後に極端に劣化する、あるいは劣化した可能性のあるパネルを、どのようにして把握するかです。

 これと同時に、メガソーラーを開発する中で、さまざまなEPCサービス企業に対して、売電開始から10年後や20年後の発電に関するこうしたリスクを管理したり、顕在化した場合に保証してもらえるのかどうか、相談を続けてきました。

 困るのは、トラブルが生じた際に、責任の所在があいまいで、設備メーカーなどの間をたらい回しにされることです。この面で不安のある企業もありました。