2015年2月26日~27日にかけて、北海道大学学術交流会館小講堂で開催された「第21回 NORTHインターネット・シンポジウム2015」。今回のテーマは『地域住民視点によるクラウド・コンピューティング資源の利活用』。初日となる26日は医療・健康分野を中心に各スピーカーが講演を行なった。

 「視覚障碍者に特化したスマホ(Android)の開発と普及活動の報告」と題して登壇したのは、釜江常好氏。釜江氏は東京大学、スタンフォード大学の名誉教授を務め、インターネットの黎明期から日本におけるインターネットの研究利用や一般普及の発展に尽力してきた。

 そして現在、釜江氏が意欲的に取り組んでいるのが視覚障碍者用のAndroidスマートフォン(スマホ)の開発である。釜江氏自身、「スマホは驚くほど最先端の技術を集約した電子頭脳」と捉え、「ユニバーサル・アクセス携帯(UA携帯)」を独自に作成して視覚障碍者に提供している。

東京大学、スタンフォード大学名誉教授の釜江常好氏
東京大学、スタンフォード大学名誉教授の釜江常好氏

 UA携帯の開発には、釜江氏とともに、東京・立川にあるアプリ開発会社であるクリエートシステム開発が携わった。同社は音声認識・音声合成に強みを持つ企業で、AndroidやWindows、Mac、iOSなどに日本語合成エンジンの「ドキュメントトーカ」を販売する。

 iOSはOSを改良することが難しいため、釜江氏は技術情報が公開されているAndroidに着目。現在20台ほどのUA携帯を提供済みで、その内訳はGalaxy Nexus(中古モデル)、Galaxy S4(NTTドコモの国内版とグローバル版)となる。OSのバージョンはAndroid 4.3ないしは4.4にアップデートした。アップデートは、視覚障碍者にとって役立つNFC機能、Beacon機能を有効にするために欠かせないのだという。