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声なき痛みのスクリーニング、緩和ケアチームを支援するデータベースを構築・運用

青森県立中央病院がFileMakerでがん疼痛治療支援システムを構築

2015/03/27 00:00
増田 克善=日経デジタルヘルス協力ライター

 青森県立中央病院は、厚生労働省の「がん疼痛治療の施設成績を評価する指標の妥当性を検証する研究」への参加を機に、がん患者の痛みに関するスクリーニング結果を集計・管理するシステムをFileMakerで構築・運用している。日々、がん患者の痛みをスクリーニングし、結果を現場にフィードバックすることで、鎮痛薬の処方や増量をはじめとする疼痛治療における医師、看護師、薬剤師の行動変容につなげている。

疼痛治療に関するがん臨床研究事業の実施フィールドに

 青森県立中央病院が本格的に緩和ケアに取り組み始めたのは、診療組織体制を再編し、がん診療センターを立ち上げた直後の2008年6月。同センターの下に緩和ケアチームが始動し、同年9月には緩和医療科外来もスタートした。初期は年間100件未満だった緩和ケアチームの介入件数は、2012年以降は年間200件を超えている。2014年4月には、都道府県がん診療連携拠点病院の新要件に基づいて緩和ケアセンターを立ち上げ、緩和医療科と腫瘍心療科の2科体制で現在に至っている。

緩和ケアセンター緩和医療科部長の的場元弘氏
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 一方、同病院は2012年2月に厚生労働省のがん臨床研究事業の1つである「がん疼痛治療の施設成績を評価する指標の妥当性を検証する研究」(Special Project for Awareness and Relief of Cancer Symptoms:SPARCS)事業に協力施設として参画。それが、がん患者の痛みに関するスクリーニング結果を集計・管理するSPARCSシステム開発の動機となった。同事業の研究代表である的場元弘氏(当時、国立がん研究センター中央病院)は、2014年4月から青森県立中央病院緩和ケアセンターの緩和医療科部長を務めている。

 苦痛の改善はがん患者のQOL向上のために不可欠であり、がん治療の早期から行う必要があるとされている。同事業では、がん患者の苦痛緩和のための治療法や評価について研究し、治療法の基盤的確立と臨床面からの治療効果の検討を行うという。

 「がんの痛みに対する医療施設ごとの治療成績を明らかにすれば、施設間の格差や疼痛治療の問題点がはっきりするだろうと考えて始めました。ところが、患者さんから聞き取りたいことをどのように現場にフィードバックすれば有効か、どうデータ化して集計・分析するのが適切かといった課題が山積。手探りで始まったというのが実状でした」(的場氏)と振り返る。

 医療機関で使用される痛みの標準的な評価尺度(疼痛スコア)としてはNRS(Numerical Rating Scale)などがあるが、患者にどのように聞くかという教育はほとんど行われておらず、どのようなタイミングで、どれぐらいの頻度で聞くかという手順もないのが現状だ。また、ある特定の患者グループを母集団として疼痛治療を実施し、疼痛スコアを基にした除痛率を治療成績とするのであれば、集計などは比較的容易だが、日々入退院する患者、亡くなる患者がいる中で、施設の治療成績を評価していくのは難しく、「走りながら成績を見る方法を考えなければいけない状況だった」(的場氏)という。

 痛みとつらさを聞き取るための質問内容、除痛率の算出方法、スクリーニング対象患者の選定などの手順を検討しつつ、同時にシステム開発に着手したが、そこでも様々な課題があった。

日経デジタルヘルス Special

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