健康寿命の延伸や医療費削減に向けて、セルフメディケーションの取り組みが広がっている。政府も一般用医薬品の所得税控除などの制度で、セルフメディケーションを積極的に推し進めている。

 そして最近では、薬局などの店頭で利用者が自ら検体の採取や検査前後の消毒、処置などを行う簡易検査も可能になった(関連記事)。こうした検査の内容や効果はいかなるものか――。「第15回JAPANドラッグストアショー」(2015年3月11~13日、幕張メッセ)で実施されたセミナーで議論が交わされた。

HbA1c検査が広がるワケ

 厚生労働省は2014年4月、薬局などで行う簡易検査の個室/ブース・設備などに関する要件を定めたガイドラインを発表。同ガイドラインに沿って整備した「検体測定室」の届け出の受付を始めた。検体測定室は2015年1月末時点で1000店を突破。検査項目別にみると、最も多いのがHbA1c。検体測定室の約7割で、糖尿病の疑いが調べられるHbA1c検査を実施している(厚労省の発表資料)。

検査を受ける人が自分で指先穿刺(浮田氏の講演資料より)
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 日本一般用医薬連合会の浮田謙二氏(セルフメディケーション実践プロジェクトのチームリーダー)によれば、HbA1cは簡易検査での測定に向く条件がそろっているという。その条件とは次の5つ。(1)飲食の影響を受けにくく、いつでも検査できる、(2)少量の検体で測定できる、(3)その場で測定できて結果も分かる、(4)病院で受診すべきかどうかの基準が明確である、(5)わざわざ検査する価値がある、である。