統合失調症患者が自ら、服薬管理ツールの開発に参加する――。そんなプロジェクトが始まった。国立障害者リハビリテーションセンターと国立精神・神経医療研究センター、慶応義塾大学、信州大学が共同で進める「統合失調症患者のための服薬セルフモニタリングシステムの検証実験」がそれだ。2014年度の厚生労働省 科学研究費(科研費)を受けた研究の一環として、2015年2月に実証を開始した(pdf形式のリリース)。

 国立障害者リハビリテーションセンターなど4者は2015年3月13日、「第4回 服薬支援機器の開発に関する研究コンソーシアム」を国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)で開催。検証実験の担当者が登壇し、中間報告を行った。

実験に協力中の統合失調症患者が自ら使用体験を語った。右から2人目、マイクを手にしているのが「浦河べてるの家」の伊藤知之氏。その左隣が、「ひだクリニック」の武田さやか氏。両氏の隣は、それぞれの機関の職員。
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 統合失調症は、人口の0.7%(約140人に1人)が罹患する発生頻度の高い精神疾患である。幻覚や妄想などの症状を特徴とする。近年の治療薬の開発や心理社会的ケアの進歩により、初発患者のほぼ半数は完全な回復を期待できるという。

 治療の際に重要になるのが、退院後にも服薬を継続すること。「服薬のアドヒアランス(継続率)が高い場合には、再入院率が低くなる」(国立精神・神経医療研究センター 名誉総長の高橋清久氏)という。