連載の前回では、中国FPD産業10大ニュースを紹介した。その中でもとりわけ注目を集めているのが、中国政府の考え方が見える「政策」に関する内容である。そこで、10大ニュースとして取り上げられた「中国の工業和信息化部と発展改革委員会が新型ディスプレー『新三年行動計画』を発表」の内容を詳しく見ていく。

LTPSや酸化物、有機ELに続き、ホログラフィーやレーザーも

 新三年行動計画は通称で、正式名称を日本語に書き起こすと「2014~2016年新型ディスプレー産業イノベーション発展行動計画」となる。2014年10月13日に発表された。かつて「2010~2012年フラットディスプレー産業発展計画」が発表されて以降、中国政府が、新型ディスプレー産業に向けて打ち出した新たな推進計画となる。同計画のポイントは以下の通りである。

1. 2016年には、新型ディスプレーの出荷量を面積ベースで世界2位、世界シェア比率で20%以上(2013年は11.2%)、金額ベースで3000億元を目標にする。

2. 今後3年間、低温多結晶Si(LTPS)および酸化物半導体を用いた液晶パネルと有機ELパネルを重点発展分野と位置付ける。液晶は年間生産能力500万m2、有機ELは同40万m2を達成する。

3. ホログラフィー、レーザー、フレキシブルなどの新型ディスプレー技術およびその材料技術において、飛躍を実現する。

4. 2016年に、パネルメーカー大手2社の売上高を300億人民元(約6000億円)超とする。生産規模、市場競争力ともに世界トップ6入りを目標とする。

(注)中国の大手パネルメーカーが発表した2013年度のレポートによると、中国BOE Technology Group社(京東方)の営業収入は337億7000万人民元であり、既に上記の目標を達成している。中国China Star Optoelectroncis社(華星光電)の営業収入は155億3100万人民元である。

 上述の内容は、「新三年行動計画」における目標のサマリーである。この目標を達成するための具体的な施策について、重要な点を以降で紹介する。