「何でも医師がやらなくていい」

 パネル討論は「医師以外の人々のデータベース運用についてどのように考えていくべきか」という質問から始まった。これについて山本雄士氏は、「医療の範囲が拡大する中で、医師が全部やるのは難しくなるため役割分担は必須になる。診断そのものが難しく、医療方法が一義に決まらないものに関しては今後も医師の仕事に違いない。だがほとんど全国の医療機関で等しくやっているものは、それを医療行為とせず、何でも医師がやらなくていいのではないか。境界線もますます不明確になるだろう」と答えた。

ミナケア代表取締役の山本雄士氏
[画像のクリックで拡大表示]

 続く質問は「DPCデータの不得意な部分について。個々の患者要因が無視されてデータがひとり歩きすることはないのか」というもの。これに関しては石川ベンジャミン光一氏が「我々は10年間ほどDPCデータを扱ってきたが、まず解決しなくてはいけない問題はDPCの支払いがきちんと機能するように、分類や支払いの点数などの改定を進めること。これを軽視して先に進むつもりはない」と明言。DPCデータは利用の敷居が低いゆえに玉石混交の部分があるものの、どのように上手く活用していくかを専門家に判断してもらい、ある程度まで研究レベルの戦略を立てた上で運用したいと語った。

 この質問に対しては山本隆一氏も次のように回答した。「本日、我々3人が話したデータは、さまざまな実データ。このデータを使って何かを分析する場合は、どれほど分析に影響する因子があるかがよくわからない。ビッグデータ分析はある程度解釈の幅があると考えたほうがいい。いわゆる臨床治験や実験室で作成するデータとはかなり異なる。そこを十分に理解して結果を見なくてはいけないし、それこそがビッグデータの特徴だ」。