「日本における医療ビッグデータの現状と未来」と題して開催された平成26年度 日医総研シンポジウム(2015年2月12日開催)。パネル討論として、事前に講演した東京大学大学院医学系研究科 医療経営政策学講座特任准教授の山本隆一氏(関連記事)、国立がん研究センター がん対策情報センターがん統計研究部がん医療費調査室長の石川ベンジャミン光一氏(関連記事)、ミナケア 代表取締役の山本雄士氏(関連記事)の3人が登壇、会場の質問に答える形で議論が進められた。座長は日本医師会常任理事の石川広己氏、石井正三氏が務めた。

 議論に先立ち、座長の石井氏が「データベースとバイオバンクにおける倫理的考察に関するWMA宣言案」を紹介。これは世界医師会(WMA)による宣言案で、石井氏が「ヘルシンキ宣言」(WMAが1964年に採択した医学の研究倫理指針)の改訂ワーキンググループに2度参加した縁で取り上げたものだ。

ディスカッションの座長を務めた日本医師会常任理事の石川広己氏(左)、石井正三氏(右)
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 データベースやバイオバンクといった新しいトレンドを、当初はヘルシンキ宣言に盛り込むか否かの議論もあったそうだが、結果的には「ソケットの部分だけ作っておき、その上で新たなガイドラインを作るべきという方向になった」(石井氏)。いまだに草案に止めているのは、現状の案に関しての反響が大きすぎて、パブリックコンサルテーションが必要だと判断したからだという。今回の講演のテーマとも深く関わるため、石井氏は聴衆に対して、会場で配布したアンケートによる意見収集を促した。