研究成果を報告する弘前大学COI研究推進機構副機構長の中路重之氏
研究成果を報告する弘前大学COI研究推進機構副機構長の中路重之氏
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 「日本一の短命県である青森県民の平均寿命を1~1.5年伸ばし、日本人の中位水準まで持っていくことが最終ゴールだ」――。

 弘前大学COI研究推進機構は2015年1月30日、弘前市内のホテルで「弘前大学COIイノベーション・サミット」を開催。同機構の副機構長で弘前大学大学院医学研究科長の中路重之氏が、弘前大学COI拠点の概要をあらためて紹介するとともに2年間の研究成果と今後の取り組みを語った。その中で中路氏はまず、弘前COI拠点のコンセプトを「寿命革命」と名付け、冒頭のコメントのような「最終ゴール」を強調した。

「世界に類を見ない幅広い健診ビッグデータがある」

 弘前COI拠点でのプロジェクトは、詳細・大量の健診ビッグデータの解析により認知症や生活習慣病の予兆法、予防法を開発しようとするもの。重要なポイントは、予兆法・予防法を開発するだけではなく、その成果を健康啓発ツール「健康物語」に搭載し、社会実装していくことだという。

 中路氏は、プロジェクトの特徴や優位性を次のように述べた。「岩木健康増進プロジェクトでは約600項目に渡る世界に類を見ない幅広い健診ビッグデータがある。日本一短命で少子高齢化が進む青森県はまさに課題先進県であり、2025年問題をにらんだ地域ソーシャルイノベーションモデル実現の可能性が、我々のモチベーションでもある。県知事のリーダーシップの下、産官学民金が一体の中で社会実装に向けてバックアップしていく体制もあり、グローバル企業のGEヘルスケアの参画によって成果を迅速にグローバル展開する期待もある」。

 2013年にスタートした弘前大学COI拠点は、約2年が経過。これまでの成果として中路氏は、岩木健康増進プロジェクトの進展、予兆発見に向けたビッグデータ解析、社会実装への体制整備、「健康物語」の試作・実証開始、社会実装の中核組織立ち上げ準備など現況を説明した。