前回は「IEC 62368-1」の開発の基礎となっているHBSE(Hazard Based Safety Engineering)の概念について紹介しました。併せて、HBSEの象徴的なツールである「スリーブロックモデル」を使用して傷害や着火が起こるメカニズムを把握し、エネルギー伝達を防ぐ「セーフガード」を採用することで傷害や着火の可能性を効果的に軽減するプロセスと、この概念を理解する上で重要なエネルギー源の分類について解説しました。今回は、保護の対象となる「製品に関わる人」に関する分類とそれぞれに要求されるセーフガードなどについて紹介します。

保護する人を3種類に分類

 現行規格のIEC60950-1では「製品と関わる人」を「使用者(user)」と「サービス従事者(Service person)」の2種類に分類していましたが、IEC 62368-1では「一般人(Ordinary person)」、「指示を受けた人(Instructed person)」および「熟練者(Skilled person)」の3種類に分類しています。エネルギー源と人体との間にセーフガードを挿入することでエネルギー伝達を防ぎ、ケガや痛みを軽減するに当たり、、前回紹介した3種類のエネルギークラスと上記3種類の「人」の分類の組み合わせにより、それぞれの状況に即した異なるレベルのセーフガードの採用が求められます(表1)。

表1 セーフガードの数(Number of Level of Equipment Safeguard)
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