「海外の取引先に部品加工を発注した際、設計で意図した通りの形状・品質で出来上がってこなかった。最初は『技術力がない会社だな』と思ったが、よくよく調べてみると図面通りのモノ。こちらが出した図面に問題があったと分かった」。こう語るのは、ある機械メーカーの設計者だ。

 日経ものづくりが実施した技術者へのアンケート結果(回答数531)からも、図面に起因したトラブルが最近、増加していることが明らかになった(図1)*1。全体の64%の技術者が、この5年間で何らかのトラブルが増加したと感じているのだ。

図1●図面の品質に起因するトラブルが増加(本誌アンケート)
「図面の品質が不十分なことに起因するトラブルの数は、この5年でどのように変化していると感じるか」という設問に対する回答結果。「かなり増えている」と「やや増えている」を合計すると64.0%がトラブルの増加を感じているという結果だった。
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 具体的にどのようなトラブルが増えているかというと、「設計意図を満たす加工結果(形状や精度)とならなかった」が57. 4%と最も多い(図2)。「想定よりもコストが高くなった」(37. 5%)や「精度のバラつきが大きくなった」(33.1%)、「海外拠点での製造がうまくいかなかった」(31.3 %)も3割を超える。

図2●トラブルで多いのは、「設計意図を満たせない」こと
「図面の品質が不十分なことに起因するトラブルとして、どのようなものが発生しているか」という設問に対する回答結果。最も多かったのが、「設計意図を満たす加工結果(形状や精度)とならなかった」こと。図面を介して設計部門から製造部門へと伝わるはずだった設計意図が、伝わらないトラブルが増えている。
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