“STAP捏造疑惑時”にも話題となった画像不正検出ソフト

 次に登壇したのは、医療分野の研究者向けサービスを手掛ける東大発のベンチャー「LPixel」。近年の大きな問題として研究の画像データ(非構造化データ)の爆発的な増加と複雑化があり、それら「研究の画像ビッグデータ」解析を支援する専門的サービスを目指す。

LPixelの発表
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 具体的には、画像の処理に忙殺され「研究者が作業者化している」現状に着目。そうしたネガティブ要素を排除しようとサービスの開発に取り組んでいる。ライフサイエンスの研究開発力と最先端の画像解析技術との融合が強みで、既に画像不正検出ソフト「LP-exam」の無料版をオンラインで公開済みだ。本ソフトはSTAP細胞論文の捏造疑惑時にも話題となったものである。なお、オフラインの高精度・多機能版「LP-exam PRO」も販売中である。

 設立わずか1年足らずではあるものの、共同研究、受託研究開発の申し出は引きも切らないという。2年目となる2015年はその成果を生かして自社開発に注力していく予定だ。現在取り掛かっている「Project Ai」は、前述の研究者の作業者化を人工知能でカバーするというプロジェクト。これにより、研究者が本来の高次研究に打ち込める環境を整えたいと語った。

 春田氏は画像診断により身近な人の早期がん発見に結びついた体験談を交えながら、「これからも意欲的に進めてほしい」と激励の言葉を贈った。窪田氏は「単純解析の苦労を排除してくれるのは研究者としてはありがたい。このサービスを使わないと発掘できない価値のある情報が具体的に出てくると、さらに弾みがつくだろう」と、研究者ならではの視点で感想を述べた。