医療とITは刻々と融合し始めている。こうした中、医療・IT双方の最前線にいるプレーヤーはどのように考え、どう行動しているのか――。

 2015年2月7日に日本大学病院(東京・御茶ノ水)で開催された「医療×ITカンファレンス」では、経験豊富な関係者から“生の声”が発信された。会場には、医学生や臨床医、研究者といった医療関係者を中心とした聴講者が詰め掛けた。

2014年に東証マザーズ上場

 まずは、医療の立場を代表して米Acucela社 ファウンダー、会長兼CEOの窪田良氏が登壇した。同社は伸び盛りのバイオ製薬ベンチャーで、眼疾患の新薬開発・探索を理念に掲げる。米国シアトルに拠点を置く企業ながら、2014年2月には東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たすなど、日本の経済界からも注目を集める存在となっている。

Acucela社の窪田良氏
[画像のクリックで拡大表示]

 窪田氏の略歴もユニークだ。慶応義塾大学医学部を卒業後、虎ノ門病院にて眼科医を務めた。1998年には大学時代から研究を続けてきた緑内障原因遺伝子である「ミオシリン」を発見し、緑内障研究では名誉ある賞の「須田賞」を受賞。その後渡米してワシントン大学に留学後、2002年にシアトルにてAcucela社を起業した。つまり、医師であり研究者でありながら、新薬開発のバイオベンチャーを率いる経営者でもあるというわけだ。