このシリーズでは、中部電気保安協会の本店 保安部 太陽光プロジェクトチームによる、太陽光発電システムのトラブル事例や、それらのトラブルへの対応策、所属する電気主任技術者にどのように助言しているのかについて紹介する。同チームがまとめたトラブル事例集を基に、同チームの寄稿によって構成している。

 太陽光発電設備が、どのくらい発電しているのか、あるいは、所定の性能通りに発電しているかどうかは、日射量の計測値から発電量を試算し、それを実測した発電量と比べることで評価されています。

 一般的には、太陽光パネルに取り付けた日射計から計測装置にデータを取り込み、遠隔監視システムを通じて確認しています。

 今回は、この日射計に関するトラブルについて、紹介します。

 顧客から、「日射計の計測データが、振り切った状態になっているので、調査して欲しい」という要望があり、現地での調査に向かいました。

 現地では、まずパワーコンディショナー(PCS)の計測表示を確認しました。すると、日射量が「1416W/m2」と表示されていました。

 通常、どんなに良い天気であっても、日射量が1000W/m2以上になることは考えにくく、またさらに、表示装置には、エラーコード(入力異常)も表示されていました。そこで、日射計の本体の故障を疑い、機器を確認することにしました。

 調べてみると、日射計を固定している支持金具に沿うように配線されていた、日射計用の信号ケーブルの外装が数カ所、何かに突かれて破れた形跡があり、途中で断線していました()。

図●電線の被覆が2カ所で破られていた
(出所:中部電気保安協会)
[画像のクリックで拡大表示]