医師の机の上にはディスプレーが2台並んでいる。一つは電子カルテ専用。もう一つは、スケジュール管理やメールのやりとり、インターネット検索をするためのパソコン用ディスプレーだ。そして、机から少し離れた所に医療用画像診断装置専用の読影モニターがもう1台。医師は器用に各画面に視点を移しながらも、出来る限り患者さんに向き合おうとしている――。

医師の相棒「電子カルテ」のイノベーション

 これはごく一般的な診療所の診察室のイメージです。医師は、多くの時間を数台のディスプレーの前で過ごしています。そして、診察中に一番多く見るのは間違いなく電子カルテです。

 医師にとって相棒ともいえる電子カルテ。果たして医師を支援するツールとして既に必要十分なものになっているのでしょうか。本連載では、「医師と患者を救う電子カルテとは」というテーマの下、実際の医師の声や海外のEHRとPHRの事例紹介を交えながら現状の問題点を整理し、電子カルテのイノベーション、すなわち「電子カルテRe-Design構想」を提案していきます。

 なお本連載では、論点を明確にするために、電子カルテの導入について医師個人が意思決定することのできる診療所の電子カルテ導入に絞って話を進めていきます。