講演する畑中氏
講演する畑中氏
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保険収載を目指す

 開発した超軟質心臓シミュレーターは、現在までに「約30症例に使用され、高い評価を得ている」。2014年には、標準モデルで当初20万円を超えていた価格を5万円に引き下げた製品を発売。この価格でもビジネスが成り立つ工法を実現したという。心停止させずに行う術式のトレーニングに使える拍動型の心臓シミュレーターも開発した。

 手術支援ロボット「da Vinci(ダビンチ)」の術前シミュレーションにも使われ始めた。動物実験の代替という用途もある。「米国などでは動物愛護の声が強い。動物の代わりにシミュレーターが広く使われるようになるだろう」。

 この先の挑戦は大きく2つある。第1に、医療現場での画像診断から「実モデル診断」へのシフトを実現すること。臓器シミュレーターをさらに速く、安価に作製できるようにすることに加えて、臓器シミュレーターの保険収載を目指す。平成30年(2018年)の保険収載実現を目指すプロジェクトを始動させたという。第2の挑戦はさらに野心的。「実臓器を作る」ことだ。